インナーマッスルが弱いと言われたけど、本当にそうなのか知りたい。クライアントや患者さんのインナーマッスルが機能しているか、よく分からない。
このような声をよく聞きます。
今回は、インナーマッスル(大腰筋)を使えている状態とはどのような状態なのかを説明していきます。
インナーマッスルが伸びている状態でも働いていることが大事
筋肉の収縮には、大きく分けて2種類あります。
・ 筋肉が短縮しながら収縮するもの(短縮性収縮)
・ 筋肉が伸びながらも収縮するもの(伸張性収縮)
どういうことか、腕の筋肉(上腕二頭筋)で分かりやすく説明します。
例えば、手に5kgの重りを持って肘を曲げる時は、腕の筋肉は短縮しながら収縮します。これが短縮性収縮です。
その状態から肘を少しずつ伸ばしていく時、腕の筋肉は伸びながらも力が入っています。
これが、伸びながら力を発揮するということです。
この伸張性収縮が出来ないと肘は急激に伸ばされて、肘関節を痛めることになります。
もしくは、肘をかばうために他の関節に負担がかかります。
例えば、腕がそれ以上さがらないように、肩周りの肩の筋肉(三角筋)などに負担がかかります。
このようなことが体幹のインナーマッスル(大腰筋)でも大事になります。
脚(大腿骨)を持ち上げる時にインナーマッスルが短くなりつつ収縮することはイメージ出来るかと思います。
その逆に脚が後ろに行く(股関節が伸展していく)時は、インナーマッスルが伸ばされながらも力が入っている事が大事になります。
腕の筋肉の時と同じように、インナーマッスルの伸張性収縮が上手く出来ないと、他の関節や筋肉に負担がかかります。
そして、多くの場合、もも前の筋肉(大腿四頭筋)です。
次の項目でインナーマッスルが効いている状態をまとめますので、動作を通してもも前の筋肉の負担などを一緒に確認しましょう。
インナーマッスルが効いている状態
今回はインナーマッスルが働いている状態を確認する動作として、しゃがみこむ動作とそこから立ち上がる動作を用います。
確認する部位は、太ももと腰です。
〔しゃがみこみ〕
・ 足幅を肩幅くらいにして、つま先と膝はやや外に開いた状態で、重心はややかかと寄りで立ちます。
・ その状態からストンとしゃがみこみます。
この時、インナーマッスルが縮みながら力が発揮できている状態が優位になっていると、股関節が曲げやすくストンとしゃがめます。
太ももの前側を使った感じはなく、太ももの前側は固くありません。
どちらかというと、内ももの筋肉やもも裏の筋肉を使っている感じがあります。
逆にインナーマッスルが優位に使えていない時は、もも前の筋肉に力が入りやすく、太ももの前が張って固くなっている感じがあります。
〔立ち上がり〕
・先ほどのしゃがんだ状態から立ち上がります。
インナーマッスルの伸張性収縮が優位に使えていない時は、もも前の筋肉に力が入りやすく、太ももの前が張って固くなっている感じがあります。
逆に、インナーマッスルの伸張性収縮が優位に使えていると、もも前の筋肉ではなく裏もも筋肉や内ももの筋肉を使って股関節が伸ばしやすくスっと立ち上がれます。
また、立ち上がり動作でよく見られる特徴の1つに、インナーマッスルの短縮性収縮しか使えない人は反り腰になりやすく、腰に負担がかかります。
このように、インナーマッスルが使えている時と使えていない時とでは、太ももの使う筋肉が異なるのが感じられます。また、腰や太ももの前側に負担がかかります。
ですので、太ももや腰を指標にしてもらえたら、インナーマッスルが使えているかどうかが分かります。
どこを使っているかという体感を指標にしても良いですし、クライアントに指導する時は、どこが固くなっているか触って確認することで、インナーマッスルが優位に使えているかどうかが分かります。
では、なぜインナーマッスルが優位に使えていると太ももの使い方が変わるのでしょうか?
それは、インナーマッスルとつながっている筋肉があるからです。
インナーマッスルとつながっている筋肉
大腰筋はインナーマッスルで有名な筋肉ですが、私どもが考えているインナーマッスルにもも裏の筋肉(ハムストリングス)や内ももの筋肉(内転筋)があります。
これらは、機能的につながっております。特にインナーマッスルと内ももの筋肉は、筋膜的につながってもいます。(有名なアナトミートレインのディープフロントライン)
ですので、インナーマッスルがしっかり効いている時は、裏ももの筋肉と内ももの筋肉もしっかり働いています。
今後は、自分のトレーニングや指導をする際に、太ももや腰の状態を目安にしてみて下さい。
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