こんばんは。理学療法士の松井です。
私の勤めている病院では、変形性股関節症による股関節の痛みに悩まれている方が大勢います。
周りのセラピストを見ると教科書的に当てはめて、
お尻の外側の筋肉である中臀筋のトレーニングをしている場面をよく見かけます。
私も新人の頃は何も考えずに中臀筋さえ鍛えておけば何とかなると思っていましたが、
今では中臀筋のトレーニングを指導することはほとんどありません。
なぜなら、、、
中臀筋を鍛えることがかえって股関節の痛みを作り出している場合があるからです。
一体どういうこと?と疑問に思った方はこのまま読み進めてください。
<中臀筋トレーニングの誤解>
中臀筋はお尻の外側、骨盤から大腿骨の大転子と呼ばれる出っ張った部分についています。
中臀筋の働きとしては、太ももを外に開く股関節の外転という動きがあります。
この中臀筋ですが、
変形性股関節症などによる股関節の痛みがある場合、
股関節の安定性を高めるために鍛えたほうが良いと言われています。
では、中臀筋を鍛えることは間違っていないじゃないかと思うかもしれませんが、
トレーニングをする前に考えなければいけないポイントがあります。
それは、
「本当に中臀筋を鍛える必要があるのか?」
ということです。
どういうことかと言うと、
筋力が弱いわけではなく、筋力が発揮しにくい状態である場合があるのです。
〈筋肉の2つの特性〉
筋肉には特性があり、関節を動かすアウターマッスルと関節を安定させるインナーマッスルがあります。
インナーマッスルが関節を安定させているからアウターマッスルによって関節を動かすことができます。
中臀筋はアウターマッスルに分類され、
インナーマッスルが働いていないと十分に筋力を発揮することができません。
中臀筋はなくてはならない重要な筋肉ですが、
この状態で中臀筋を鍛えすぎると、
関節が安定していない状態で関節を動かすことになってしまい、
関節に負担をかけてしまいます。
また、インナーマッスルの働きが弱いということは、
アウターマッスルが普段から働きすぎていると言い換えることができます。
働きすぎているのにさらに鍛えると必要以上に中臀筋は緊張を強めてしまい、
凝り固まって痛みを起こすことがあります。
<体の外側の繋がり>
中臀筋の力を発揮しやすい状態を考える上で、体の外側の筋肉の繋がりを考える必要があります。
中臀筋は太ももの外側の腸脛靭帯→ふくらはぎの外側の腓骨筋というように足首の方への繋がり、
横腹の腹斜筋→あばらの肋間筋→首の胸鎖乳突筋というように首の方への繋がりをもっています。
例えば、首の胸鎖乳突筋の緊張が高い状態であると、中臀筋も緊張が高い状態となりやすいです。
この状態で鍛えることは緊張をより高めてしまいますし、
緊張が高すぎると力も十分に発揮することはできません。
股関節の安定性という観点も重要ですが、
筋肉の繋がりという観点から中臀筋の力が発揮しにくい状態ではないかと考えることも必要です。
股関節の痛み、首の外側の筋肉の硬さをチェックしてから以下の運動をしてみてください。
1.首の付け根を指でおさえる。
2.おさえたまま、首を前後に倒す、左右に倒す、左右にゆっくり回す。
3.それぞれの動きを10回ずつおこなう。
もう一度股関節の痛み、首の外側の筋肉の硬さをチェックしてみると改善しているはずです。
首の胸鎖乳突筋が緩んだことで中臀筋も緩み、力を発揮しやすい状態となったからです。
<体の内側の繋がり>
体の外側の繋がりに対して、体の内側の繋がりも考える必要があります。
この内側の繋がりは先ほど説明したインナーマッスルの筋肉の繋がりです。
ふくらはぎの後脛骨筋
→内ももの内転筋
→股関節のインナーマッスルの大腰筋
→あばらの下にある横隔膜
→首の奥にある頸長筋
というように、足から首まで体の内側の繋がりがあります。
内側の筋群が適切に働くことで股関節を含む体の関節が安定します。
特に大腰筋の働きを高めることで、股関節は安定し中臀筋の力も発揮しやすくなります。
股関節の痛みをチェックしていから以下の運動をしてみてください。
1.肩幅に足を開いて立つ。
2.そけい部(ビキニラインの真ん中)をおさえる。
3.おさえた部分を支点に体を前に倒しながらお尻を後ろへ突き出す。
4.元の姿勢に戻る。
5.10回程度おこなう。
もう一度股関節の痛みをチェックすると改善しているはずです。
<まとめ>
・中臀筋を鍛えることで痛みを強くしてしまう場合がある。
・中臀筋が弱いわけではなく、十分に力を発揮できていないだけの場合がある。
・首の筋肉が緊張しすぎると中臀筋の働きを邪魔してしまう。
・体の内側の筋肉が働くと股関節を含む関節が安定する。
中臀筋は非常に大事な筋肉ですが、
もし、あなたが変形性股関節症の方に中臀筋のトレーニングをするのであれば、今回ご紹介した内容を是非参考にしてみてください。
今回、お伝えした方法は、筋肉のつながりを知らないと出来ないことです。
また、ただつながりをほぐすだけでは、大した効果は望めません。
なぜなら、人の身体は筋肉だけで出来ていないからです。
筋肉-骨-筋膜-内臓など、様々な要素で出来ているのが人間です。
これらを踏まえたアプローチをしないと大した効果は望めません。
あなたは、 筋肉-骨-筋膜-内臓の関係性をしっかり分かっていますか?
相手の症状を教科書的に当てはめて、ほぐしたりストレッチしているだけではありませんか?
それでは、あまり効果は出ません。
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