脇をしめると肩こりが和らぐ

肩をぎゅーっとすくめた後に、だらーんと脱力するような仕草をしたことありませんか?
一時的に筋肉は緩みますが、根本的な解決にはなりません。

むしろ、この体操を続ける限り、肩の痛みや肩こりは解消できません。

一体どういうことか一緒に見ていきましょう。

<肩の痛み、肩こりの原因>

肩の痛みや肩こりを感じる部分は、首の付け根から肩にかけての部分が多いです。

・首の付け根から肩にかけて伸びる僧帽筋(そうぼうきん)

・肩甲骨の内側に位置する菱形筋(りょうけいきん)

これらの筋群がそこにあたり、これが慢性的に緊張が強い状態になると痛みや肩こりを感じるのです。

肩をぎゅーっとすくめるのは主に僧帽筋、補助的に菱形筋も働きます。

筋肉は力を入れた後は緩まるという特徴を持っているので、すくめた後の脱力で楽に感じるのはその特徴のおかげです。

ですが、冒頭でも述べたように一時的な緩みでしかありません。

根本的な解決のためには、使っている筋肉とは反対に使っていない筋肉を働かせる必要があるのです。

<僧帽筋、菱形筋を緩める前鋸筋の働き>

僧帽筋、菱形筋は肩甲骨を上へ引き上げる、内側へ寄せる動きに関わります。
それとは反対に肩甲骨を下へ引き下げる、外側へ開く動きに関わるのが「前鋸筋(ぜんきょきん)」という筋肉。

普段から前鋸筋が働いていれば、僧帽筋や菱形筋が過度に働きすぎることもありません。

つまり、重要なのは使っていない前鋸筋を働かせ、僧帽筋や菱形筋が働きすぎないようにするということ。

以下の運動前後で肩の痛みやこり、肩周りの動きを比べてみてください。

1.すわる、または立つ。

2.前側へ腕を伸ばし、前へならえの姿勢となる。
3.肩を下方向へ下げるように軽く力を入れる。
4.力を入れたまま、指先から前側へ腕全体を突き出す。
5.突き出したり引いたりを10回程度繰り返す。

運動後は前鋸筋が働き、僧帽筋や菱形筋が緩むため、肩の痛みやこりが解消されるはずです。

もし、まだ肩のこりがあるようなら、次の筋肉が原因かもしれません。

<前鋸筋を邪魔する胸の硬さ>

胸の筋肉に大胸筋(だいきょうきん)という筋肉があります。

大胸筋も使いすぎてしまいやすい筋肉の1つで、それによって緊張が高くなると肩や肩甲骨の動きを制限してしまいます。

その結果、前鋸筋も働きにくくなるため、前鋸筋を上手く働かせるには大胸筋を緩めてからでないといけません。

また、大胸筋は以下の筋肉とつながりを持っています。

・腹筋の腹直筋(ふくちょくきん)

・前ももの大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
・すねの前脛骨筋(ぜんけいこつきん)

そのため、これらの筋肉が緊張していても大胸筋を緊張させてしまう要因になります。

つまり、大胸筋を緊張させている要因をなんとかしないと大胸筋も前鋸筋も働きにくくなってしまうのです。

その1つの要因となる腹直筋周りを緩める以下の運動を試してみてください。

1.すわる、または立つ。

2.みぞおちをさわる。
3.さわったまま、腰を曲げ伸ばし、左右へひねる。
4.それぞれ10回ずつおこなう。

運動後は腹直筋、大胸筋が緩み、前鋸筋も働きやすくなるため、先に紹介した運動の効果をより高めることができます。

<まとめ>

・肩を緩めるための運動が逆効果になっている場合がある。

・僧帽筋、菱形筋の緊張をより高めてしまう可能性がある。
・前鋸筋を働かせることで、僧帽筋、菱形筋を緩めることができる。
・大胸筋を緩めることで、さらに前鋸筋を緩めて働きやすくすることができる。

一時的に楽になるからといってそれが必ずしも良い影響を与えるとは限りません。

効果はあるがそれが本当に正しいのか疑うことも必要です。

今回の内容を参考に考えていただければ幸いです。

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理学療法士 松井 洸
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