こんにちは
理学療法士の松井洸です。
先月行われたテニスの全豪オープン、
膝の負傷で途中棄権した錦織圭選手ですが、先日の復帰戦では逆転勝利を収めています。
膝の負傷にもかかわらず、良いプレーをできた要因の一つに股関節の動きがあります。
股関節のどんな動きが良いプレーを生み出したのか、一緒に見ていきましょう。
<膝をひねると硬くなる>
膝は関節の構造から、ひねる動きに適していません。
一方、股関節は曲げ伸ばしだけでなく、ひねる動きにも適した構造なので、股関節でひねることが重要です。
そのため、膝でひねると膝を守るために外側の腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)、外側広筋(がいそくこうきん)が緊張します。
これらが緊張すると、膝の動きが悪くなり、ますます負傷しやすい膝になります。




<股関節でひねるには大腰筋>
膝ではなく、股関節でひねるには大腰筋(だいようきん)というインナーマッスルの働きが必要です。
これにより、股関節が安定した状態でひねることができます。
それに対して、先ほどの腸脛靭帯、外側広筋はアウターマッスルで、緊張しすぎると関節の動きを悪くします。
また、以下の筋肉とつながっており、膝から股関節の外側全体を緊張して硬くしてしまう原因となります。
・大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)
・中臀筋(ちゅうでんきん)
・大臀筋(だいでんきん)

アウターマッスルが緊張しすぎると、インナーマッスルの働きを弱くしてしまうため、大腰筋は働きにくくなり、膝でひねってしまいやすい状態となるのです。
<大腰筋はインナーマッスルのつながりを持つ>
大腰筋は以下のインナーマッスルとつながりを持ち、それらが働くことでアウターマッスルが緊張しすぎることを防いでくれます。
・内転筋(ないてんきん)
・ハムストリングス
・膝窩筋(しつかきん)

このように、内ももから膝の裏側へ大腰筋からつながっています。
膝窩筋は膝のインナーマッスルでもあるため、大腰筋が働くことで、膝窩筋も働き、膝の安定性も高めることができます。
<腕から股関節へのつながり>
大腰筋は股関節、膝を安定させるだけでなく、腕の動きも良くします。
大腰筋は以下の筋肉を介して腕につながっているからです。
・腹横筋(ふくおうきん)
・外腹斜筋(がいふくしゃきん)
・内腹斜筋(ないふくしゃきん)
・前鋸筋(ぜんきょきん)

前鋸筋は肩甲骨に付着し、腕の動きに関わる筋肉です。
このつながりによって、大腰筋が働くことで前鋸筋も働きやすくなり、腕の動きを良くしてくれ、テニスのようなラケット競技ではこのつながりも重要となります。
<大腰筋を働かせる運動>
以下の運動前にサイドステップ、膝周りの硬さをチェックし、運動後に比べてみてください。
1.立ってみぞおち、そけい部(ビキニラインの真ん中)をそれぞれさわる。
2.そけい部をさわっている側の太ももを持ち上げる。
3.持ち上げた太ももをおろす。
4.左右10回ずつ繰り返す。
運動後はサイドステップのやりやすさ、膝周りの硬さもほぐれていませんか?
大腰筋はみぞおちからそけい部に付いており、そこをさわって動かすことで、大腰筋が働きやすくなり、膝の動きが良くなったのです。
<まとめ>
・膝はひねるような構造ではない。
・股関節はひねる動きにも適している。
・膝でひねると腸脛靭帯など外側の筋肉が硬くなる。
・股関節でひねるには、大腰筋によって安定する必要がある。
・大腰筋は腕の前鋸筋にもつながっており、腕の機能も高める。
膝の機能を高めるには股関節でひねることが重要で、股関節機能の鍵を握る大腰筋は膝だけでなく、腕の機能まで高めてくれます。
全身を見て、共通するポイントは何か考えてみると良いですよ。
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理学療法士 松井 洸
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