手首の精密な動きに必要な肩の筋肉

こんにちは
理学療法士の松井洸です。

中学生でありながらも世界レベルのプレーをする、卓球の張本智和選手。
得意技に「チキータ」というバックハンドでスピンをかける技がありますが、見た目では分からない精度で回転方向を打ち分けています。

この手先の精密さに欠かせないのが、肩関節の使い方です。

一体どういうことか一緒に見ていきましょう。

<肩関節と手首の精密さの関係>

身体のある部分が動くには、必ず安定した部分があることが必要です。

今回の例で見ると、バックハンドには手首のコントロールが必要ですが、それを実現するには手首より身体に近い部分が安定していないといけません。
手首より身体に近い関節と言うと、肘関節です。

肘関節が安定していると、手首を大きく動かすこともできるし、細かい動きもコントロールできます。

ですが、肘関節が安定していないことがよくあります。
もしくは、肘に負担がかかってテニス肘のように炎症してしまう場合があります。

そうならないためには、肘関節より身体に近い肩関節の安定性が必要です。
肩関節が安定することで、肘関節、さらに手首も大きく、かつ精密に動かすことが可能になります。

ただ、安定と言ってもガチガチに緊張させることが正しいわけではありません。
試しに、肩をすくめるようにぎゅっと力を入れた状態で手首を動かすのと、肩の力を抜いて手首を動かした時の動かしやすさを比べてみてください。

力を入れた状態より力を抜いた状態の方が手首は動かしやすいはずです。

<肩のアウターマッスル>

肩にぎゅっとチカラを入れた時に力が入りやすい筋肉は三角筋(さんかくきん)。
三角筋から手首までは筋肉のつながりがあります。

三角筋→上腕(じょうわん)の外側→前腕伸筋群(ぜんわんしんきんぐん)

 

 

前腕伸筋群は手首を反らす働きを持つので、三角筋に力を入れることは手首の動きにも関連します。

ですが、三角筋はアウターマッスルであり、ここを使う割合が増えると「ぎこちない動き」になってしまいます。
何故なら、アウターマッスルは関節を動かす役割があり、関節を安定させる役割は別の筋肉が担うからです。

関節を動かすための三角筋で安定性も担おうとすることがぎこちない動きになるのです。

そのため、三角筋にぎゅっと力を入れたままでは、相手に動きが読まれやすく、手首の精密な動きはしにくいのです。

<手首の精密な動きに必要な肩の筋肉>

とは言っても三角筋を全く使わないというわけではなく、必要なのは別の筋肉で肩を安定しつつ、三角筋で動かすことです。
それが肩のインナーマッスルである棘下筋(きょくかきん)と棘上筋(きょくじょうきん)です。

棘下筋と棘上筋も手首までのつながりがあります。

棘下筋、棘上筋→上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)→前腕(ぜんわん)の外側→小指球筋(しょうしきゅうきん)

三角筋から手首までのつながりに対し、これは肩から手首まで深部を走行する筋肉のつながりです。
このつながりが働くことで、肩から手首までが安定し、三角筋から手首までの表面のつながりによって関節の動きを作り出すことができます。

つまり、この深層の筋肉のつながりを使いつつ、三角筋からのつながりを使うことが、精密な手首の動きに必要となるのです。

<肩甲骨が鍵>

そこでポイントとなるのが、肩甲骨の動き。

棘下筋も棘上筋も肩甲骨に付いているため、いくら棘下筋や棘上筋を使おうと鍛えても、肩甲骨が動かなければ上手く働きません。

肩甲骨の動きに重要なのが、肩甲骨を動かす筋肉である前鋸筋(ぜんきょきん)です。

前鋸筋が上手く働くと、肩甲骨が動き、棘下筋も棘上筋も働きやすくなるため、結果的に手首も上手く使えるのです。

以下の運動の前後で手首の動かしやすさを比べてみてください。

1.脇の後ろ側を軽くほぐす。
2.四つ這いになる。
3.指先が正面を向くように手をつき、肘が後ろ側を向くようにする。
4.そのまま前後左右へ小さく動く。

運動後の方が手首を動かしやすくなっていませんか?
前鋸筋が働きやすくなった結果、手首までのつながりが上手く使えるようになり、手首を動かしやすくなったのです。

<まとめ>

・身体のある部分を動かすには安定した部分が必要。
・肩から手首までの表面のつながりと深部のつながりが2種類ある。
・筋肉のつながりを介して、肩が安定すると手首の動きが良くなる。
・棘下筋、棘上筋は肩甲骨に付着するため、肩甲骨の動きが悪いと棘下筋、棘上筋の働きも悪くなる。

一部分の機能を上げたいからといって、その部分のトレーニングばかりしても変化が感じられない場合は他の部分にも視点を移してみてはどうでしょうか。

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