肩の痛みは足首を見る

こんにちは
理学療法士の松井洸です。

いくら肩や腕の筋トレやマッサージをしても痛みやとれない。
痛みが良くなるどころか、むしろ強くなっている気がする。

その場合、原因が他の場所にあるかもしれません。

その原因の1つに、足首の硬さが関係している可能性があります。
どういうことか一緒に見ていきましょう。

<筋トレやマッサージが逆効果になってしまう理由>

首の頸椎(けいつい)と呼ばれる部分は、脳とつながる血管や神経が通る重要な部分の1つです。

頸椎は全部で7つあり、その中の上から3番目は頸椎3番と呼ばれる部分です。
この頸椎3番には神経や血管が通る溝があり、そこに神経と血管がおさまって通過していることで、首の運動時に下手に傷つけることのない構造になっています。
つまり、神経や血管を守るためにその溝があるということですね。

そんな重要な溝がある頸椎3番の動きが悪くなると、
神経や血管にも本来はかからないような負担がかかる可能性があります。

それによって、神経が圧迫されて筋力が発揮しにくい、
しびれが起こる、血管が圧迫されて指先の冷えなどにつながる場合があります。

そのような状態で、いくら肩や腕の筋トレやマッサージをしても、
原因が首にあるとしたら根本的な解決にはなりません。

むしろ、首の影響で本来のパフォーマンスを発揮できない状態で筋トレなどすると、
逆効果になってしまう場合もあるのです。

ですので、まずは首の中でも頸椎3番の動きがどうか見るべきなのです。

<首周りの筋肉>

頸椎3番の動きを直接悪くするのは、その周囲に存在する筋肉です。
頸椎3番につく筋肉は以下の通りです。

・肩甲挙筋(けんこうきょきん)
・前斜角筋(ぜんしゃかくきん)
・中斜角筋(ちゅうしゃかくきん)
・頸長筋(けいちょうきん)
・頭長筋(とうちょうきん)

これらの筋肉が硬くなることで、頸椎3番の動きを悪くする可能性があります。

中でもポイントとなるのは、頸長筋と頭長筋の2つです。
これらは、首の深層に位置する、いわゆるインナーマッスルと呼ばれるような筋肉です。

インナーマッスルは、関節の安定性を作る役割を持ち、それがあるからこそアウターマッスルによる関節の動きを作る役割を無理なく果たすことができるのです。
ここで言うと、頸長筋、頭長筋が頸椎3番も含む頸椎の安定性を作り、それによって斜角筋などアウターマッスルが頸椎の動きを作り出せるということです。

頸長筋、頭長筋が緊張しすぎて硬くなっていると、本来の役割を発揮できないので、それを補うために斜角筋などアウターマッスルが過剰に緊張することとなり、頸椎の動きを悪くしてしまうのです。
そして、それが肩や腕の痛みを作る原因でもあるのです。

<首と足首の関係>

ここまでの内容から、頸長筋と頭長筋が働けるようにしてあげたら良いということですが、それらが働きにくくなっている原因を考えなければいけません。
単純に頸長筋をほぐしたり、トレーニングしても、そうなってしまった原因が変わらなければ、結局すぐに元に戻ってしまいます。

その原因の1つに足首の硬さが関係しているかもしれません。

首から足首までには以下のような筋肉のつながりがあります。

頸長筋、頭長筋

横隔膜(おうかくまく)

大腰筋(だいようきん)

腸骨筋(ちょうこつきん)

大内転筋(だいないてんきん)、長内転筋(ちょうないてんきん)

膝窩筋(しつかきん)

後脛骨筋(こうけいこつきん)

足首のインナーマッスルは後脛骨筋で、後脛骨筋と首の頸長筋、頭長筋はつながっています。
首と同様に、足首でもインナーマッスルである後脛骨筋が働きにくくなると、アウターマッスルが過剰に緊張し、足首が硬くなって足首の動きを悪くしてしまいます。

つまり、後脛骨筋が緊張することで、間接的に頸長筋、頭長筋も緊張し、その結果、首の動きも足首の動きも悪くなってしまうのです。

このように、足首が原因で首の動きが悪くなっている場合、まずは足首の問題を解決しないと首の動きも良くなりません。
足首と首の動き、肩や腕の痛みを確認して、以下の運動を試してみてください。

1.内くるぶしから指を横に4本分上を押さえる。
2.押さえたまま、足首を左右に回す。
3.それぞれ10回ずつ程度おこなう。

運動後は足首と首の動き、肩や腕の痛みが良くなっていませんか?

後脛骨筋の働きが良くなった結果、頸長筋と頭長筋の働きも良くなり、首の動きも良くなって、その結果、肩や腕の痛みが緩和されたのです。

<まとめ>

・頸椎3番目には神経と血管が通る溝がある。
・神経と血管が圧迫されると、肩や腕の筋力の低下、しびれや痛み、冷えを引き起こす。
・首のインナーマッスルは頸長筋と頭長筋、足首のインナーマッスルは後脛骨筋。
・足首と首は筋肉でつながっている。
・インナーマッスルの働きが弱いと関節の動きが悪くなる。

首と足首という一見離れていて関係のないように思える場所でも、それがお互いに影響しあっている場合もあります。
関係ないという固定概念にとらわれず、こういった視点からも考えてみてください。

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