こんにちは
理学療法士の松井洸です。
肩や背中のコリ、痛みって頑固で中々取れませんよね。
そんな症状に対してマッサージやストレッチなどして、その場は良くても翌日には元通りなんてことはよくあると思います。
そんな場合、肘の動きの硬さが原因かもしれません。
肘の動きの硬さが肩や背中のコリや痛み作り出す原因について一緒に見ていきましょう。
<肘からの筋肉の繋がり>
肘を動かす主に筋肉は、二の腕の上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)と前側の上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)の2つです。
この2つが適切に働いてくれることで、肘が綺麗に曲げ伸ばしすることができます。
特に上腕三頭筋が重要で、筋肉の繋がりを介して肩や背中の筋肉に繋がっています。
上腕三頭筋
↓
棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)
↓
菱形筋(りょうけいきん)
↓
前鋸筋(ぜんきょきん)

棘上筋、棘下筋は肩のインナーマッスルであり、肩関節を安定させることに働きます。
肩が動くには関節の安定が必ず必要なので、インナーマッスルが働かないと肩を痛める原因になります。
そして、インナーマッスル以外で無理やり安定させようと、肩周りの大きな筋肉が緊張しコリに繋がります。
さらに、棘上筋、棘下筋は肩甲骨の内側の菱形筋へ繋がります。
菱形筋は肩甲骨の裏側にある前鋸筋とも繋がっており、両者が互いに縮んだり伸びたりすることで、肩甲骨の動きを作り出しています。
肩甲骨の動きが悪くなると、背中の筋肉は硬くなり、背中のコリや痛みに繋がります。
つまり、上腕三頭筋が適切に働くことが、肩や背中の筋肉を良い状態に保つことに繋がり、その結果、コリや痛みを予防することになるのです。
そんな上腕三頭筋の働きを邪魔してしまうのが、指屈筋(しくっきん)と指伸筋(ししんきん)です。
指や手首を曲げ伸ばしすることに関わりますが、肘の曲げ伸ばしにも関わる筋肉です。
両者はそれぞれ、二の腕の内側と外側の筋肉をつつむ膜である筋膜へ繋がります。
この筋膜はそれぞれ、上腕二頭筋と上腕三頭筋の間に存在しており、ここが硬く緊張してしまうと、両者の働きを邪魔することになるのです。
指屈筋、指伸筋が緊張することで、内側外側の筋膜も緊張してしまうと、肘の動きが悪くなってしまうということです。
また、そこから肩や背中の筋肉も繋がっています。
指屈筋
↓
二の腕内側の筋膜
↓
大胸筋(だいきょうきん)

指伸筋
↓
二の腕外側の筋膜
↓
三角筋(さんかくきん)
↓
僧帽筋(そうぼうきん)


大胸筋、三角筋、僧帽筋は肩や背中を覆うとても大きな筋肉です。
そんな大きな筋肉が緊張してしまうことで、肩や背中の動きを悪くしてしまうため、それがコリや痛みに繋がるのです。
<肘からの関節の繋がり>
指屈筋、指伸筋が緊張すると繋がりのある筋肉はもちろん、繋がりのある関節の動きも悪くなります。
例えば、肘を曲げる上腕二頭筋の緊張が高い場合。
肘が曲がる
↓
腕(肩)が挙がる、内側に入る
↓
肩甲骨が外に広がる
↓
背中が丸くなる
このように繋がりのある関節が連動して動きます。
簡単に言えば、巻き肩で猫背のような姿勢になります。
これによって、胸の大胸筋は縮んで緊張が高くなり肩の動きを悪くしますし、背中の僧帽筋は引き伸ばされることで緊張が高くなり肩甲骨の動きを悪くします。
その結果、肩や背中のコリや痛みに繋がります。
さらに、筋肉の特性から、上腕二頭筋が強く緊張すると、反対の働きを持つ上腕三頭筋は働きが弱くなってしまいます。
それによって、益々上腕二頭筋の緊張が高くなってしまう悪循環に陥ってしまうのです。
<肘の動きを整える運動>
筋肉の繋がり、関節の繋がりの両方に共通するのは、上腕三頭筋です。
上腕三頭筋が適切に働けば、指屈筋や指伸筋、上腕二頭筋が過剰に緊張することはありません。
以下の運動前後で肘の動き、肩や背中のコリや痛みをチェックしてみてください。
1.肘の裏側を押さえる。
2.押さえたまま、肘を曲げ伸ばしする。
3.10回程度繰り返す。
運動後は肘の動き、肩や背中のコリ、痛みが良くなっていませんか?
上腕三頭筋が働きやすくなった結果、指屈筋、指伸筋、上腕二頭筋の緊張が整ったからです。
<まとめ>
・肘の動きを作るのは、上腕二頭筋と上腕三頭筋。
・上腕三頭筋は肩のインナーマッスルや肩甲骨の動きを作る上で重要な筋肉と繋がりを持つ。
・上腕三頭筋の働きが弱いと、指屈筋や指伸筋が過剰に働いて肘の動きが悪くなる。
・上腕三頭筋の働きが弱いと、関節の繋がりで肩や肩甲骨の動きが悪くなる。
肩や背中のコリがあると、肘の動きも悪くなっている場合は多いです。
また、反対に肩や背中のコリが肘の動きを悪くする場合もあります。
コリや痛みがあるからといって、原因がそこにあるとは限りません。
中々解消されない症状は他の部分にも目を向けてみてください。
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