こんにちは
理学療法士の松井洸です。
夏に向けて腹筋を割ってやる!
こう思って、腹筋を始めるのは良いですが、実はここに落とし穴があります。
腹筋を鍛えることにはデメリットもあるため、それを知らないまま腹筋をすると、知らず知らずの内に身体に負担をかけているかもしれません。
腹筋を鍛えるとデメリットとは何なのか、一緒に見ていきましょう。
<腹筋を鍛えることのデメリット>
一般的な腹筋というのは、いわゆるシックスパックの部分で腹直筋(ふくちょくきん)と呼ばれる筋肉です。
仰向けで膝を立て、上体を足に向かって起こす運動で鍛えられます。
この腹直筋を鍛えることのデメリットは以下の2つです。
・あらゆる部位に痛みを起こす。
・運動パフォーマンスが下がる。
それぞれ解説します。
<腹直筋を鍛えると痛みが起こる>
腹直筋は腹筋なので、身体の前側にあります。
同じ身体前側の筋肉とつながりを持っています。
首の胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
↓
胸の大胸筋(だいきょうきん)
↓
腹直筋
↓
前ももの大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
↓
すねの前脛骨筋(ぜんけいこつきん)

腹直筋を鍛えすぎると、腹直筋の緊張が高まり、つながりのある前側の筋肉にも緊張が伝わります。
その結果、身体前側の筋肉全体が緊張の高い状態となります。
本来、前側の筋肉のつながりは後ろ側の筋肉のつながりとバランスをとっています。
それによって、関節をスムーズに動かしたり、姿勢を上手く保ったりしているのです。
身体後ろ側の筋肉のつながりは以下のようになっています。
首から腰の脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
↓
裏もものハムストリングス
↓
ふくらはぎの下腿三頭筋(かたいさんとうきん)

この前後の筋肉のつながりで、前側だけが緊張することで、身体の関節には偏った負担がかかることになります。
偏った負担がかかったまま関節を動かすことで、それが痛みにつながるのです。
<腹直筋を鍛えすぎると動きにくくなる>
腹直筋は腹筋なので、体幹を構成する筋肉の1つで、アウターマッスルです。
アウターマッスルとは、表面の大きな筋肉で、関節を動かしたり大きな筋力を発揮するときに働きます。
そんな体幹の安定性と柔軟性を発揮するには、アウターマッスルではなく、インナーマッスルの働きが必要になります。
インナーマッスルとは、身体の深部にある筋肉で、関節を安定させることに働きます。
体幹で言うと、腹横筋(ふくおうきん)や大腰筋(だいようきん)といった筋肉がそれにあたります。

アウターマッスルとインナーマッスルは互いに関係しあっており、アウターマッスルが働きすぎるとインナーマッスルは働きにくい状態になります。
反対に、インナーマッスルが働いていれば、アウターマッスルは適度に緩み、関節はスムーズに動かせるし筋力も発揮できます。
インナーマッスルが働きにくいということは、関節が不安定な状態なので、アウターマッスルを使って無理やり体幹を固めて安定性を作り出すしかなくなります。
その結果、体幹は一塊にしか動けなくなり、柔軟性は乏しくなるし、結局インナーマッスルは働きにくいので安定性にも乏しくなります。
体幹がこんな状態では、当然動きにくいですし、手足を動かす時も必要以上に大きな筋力を発揮しなくてはいけないので、運動パフォーマンスも低下してしまいます。
<みぞおちを緩める>
ここまで述べた通り、腹直筋を鍛えすぎると腹筋は割れるかもしれませんが、様々なデメリットがあります。
そんなデメリットを解消するには、みぞおちを緩めることが効果的です。
以下の運動前後で身体の動かしやすさ、腹筋のしやすさを比べてみてください。
1.すわる、または立った状態でみぞおちをさわる。
2.みぞおちをさわったまま、体幹を曲げ伸ばしする。
3.みぞおちをさわったまま、体幹を左右へひねる。
4.みぞおちをさわったまま、体幹を左右へ倒す。
5.それぞれ10回ずつ繰り返す。
運動後は身体は動かしやすくなり、腹筋もしやすくなっていませんか?
みぞおちには、腹直筋だけでなく、インナーマッスルの腹横筋や大腰筋もついています。
みぞおちを刺激しながら体幹を動かすことで、腹直筋を緩めつつ、かつ腹横筋や大腰筋を活性化することができるのです。
<まとめ>
・腹直筋を鍛えすぎると、身体を痛める可能性がある。
・腹直筋を鍛えすぎると、動きにくくなる。
・腹直筋は身体の前側の筋肉とつながりがある。
・腹直筋はインナーマッスルの腹横筋、大腰筋と関係しあっている。
腹筋を割るために腹筋するのは良いことですが、その運動が身体へどんな影響を与えるかも考えてみてください。
腹筋は割れるけど身体を壊すのか、腹筋も割って身体も楽に動かしやすくなるのか。
両者ではどちらが良いか一目瞭然だと思います。
腹筋するときはみぞおちを緩めてからやってみてください。
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