ベンチプレスで肩甲骨を寄せるとケガをする

こんにちは。
鍼灸師・パーソナルトレーナーの柴です。

胸の筋力トレーニングの代表的な種目であるベンチプレス。

このベンチプレスを肩甲骨を寄せながらやっている人や、
そうやるように指導しているが多く見受けられますが、

実は肩甲骨を寄せながらベンチプレスをおこなうと、
肩甲骨や肩周りの動きが悪くなり、
最悪の場合ケガに繋がってしまう事をあなたは知っていましたか?

一体どういったことなのか。解説していきます。

[ベンチプレス時の肩の動き]

ベンチプレスの動きは、解剖学的に言えば、

・肩関節の水平内転(腕を横に上げた状態で前に持ってくる動き)
・肩甲骨の外転(肩甲骨を背骨から離す動き)

 ↓ ↑

・肩関節の水平外転(腕を横に上げた状態で後ろに引く動き)
・肩甲骨の内転(肩甲骨を背骨に近づける動き)

を交互におこなっています。

前者がバーベルを押す時で、
後者がバーベルを胸に近づける時の動きです。

そして、肩関節の水平内転と肩甲骨の外転時に使われる筋肉が、
ベンチプレスでメインで鍛えられる大胸筋と、
肩の前の三角筋前部、脇にある前鋸筋。

肩関節の水平外転と肩甲骨の内転時に使われる筋肉が、
肩の後ろの三角筋後部、肩のインナーマッスルの棘下筋と小円筋、
肩甲骨の間にある僧帽筋と菱形筋が使われます。

このように、解剖学的には動きにより使われる筋肉が異なってきますが、ベンチプレスは重りを扱うため、
肩関節の水平内転と肩甲骨の外転時に大胸筋は縮んだ状態で力発揮をし、
肩関節の水平外転と肩甲骨の内転時に大胸筋は伸びた状態で力発揮をします。

では、この状態で肩甲骨を寄せながらベンチプレスをおこなうと、どうなるのでしょうか?

[肩を痛めるベンチプレス]

肩甲骨を寄せたままということは、肩甲骨の間にある僧帽筋や菱形筋を、緊張させた状態のままでベンチプレスをおこなうことになります。

つまり、大胸筋と同じ、動きに合わせて、
縮みながら力発揮と伸ばしながら力発揮を交互に繰り返すということです。

この意識でベンチプレスをおこなうと、
大胸筋と僧帽筋・菱形筋は緊張しっぱなしになり固まります。

先程、解剖学のお話をしましたが、
大胸筋と僧帽筋・菱形筋の機能は全く逆です。そんな相反する筋肉が同時に固まってしまうと、
肩甲骨と肩関節を滑らかに動かすことができない、共縮を引き起こしてしまいます。

ここで「共縮」という言葉を始めて聞く人もいると思うので、
共縮について、もう少し説明していきましょう。

共縮(きょうしゅく)とは、簡単に説明すると、
関節を動かす筋肉(曲げる筋肉と伸ばす筋肉)が同時に働いてしまうことです。

例えば、肘を曲げる時は、力こぶの上腕二頭筋に力が入り、
反対側の腕の裏の上腕三頭筋がゆるんだ状態で伸びるため、肘を滑らかに曲げることができます。

ですが、共縮が起こると、上腕二頭筋に力が入ると同時に、
上腕三頭筋にも力が入ってしまうため、肘をスムーズに曲げることができなくなってしまいます。

肩甲骨を寄せながらベンチプレスをおこなうと、これと同じことが起こってしまうため、肩甲骨と肩関節がスムーズに動かなくなり、場合によってはケガに繋がってしまうのです。

[ベンチプレスで肩を痛めないようにするには?]

私が考える、肩甲骨を寄せながらベンチプレスをする理由は2つあります。

1つは、肩甲骨を寄せると背骨を反らせやすくなり、背骨を反らせると下半身の力も使えるようになるため、ベンチプレスの重量が上がるから。

そしてもう1つは、肩がすくまないように安定させられるからです。

ですが、これができたとしても、共縮の影響で後々動きが悪くなり、パフォーマンスの低下やケガに繋がってしまったら、まるで意味がありません。

でも、ベンチプレスはやりたい…

そんな方は、ベンチプレスをおこなう時に、肩甲骨を寄せる意識ではなく、肩を下げて、脇を締める意識をしてみてください。

肩を下げる動きでも背骨は反れますし、脇を締めると前鋸筋が働きます。

前鋸筋は脇腹の外・内腹斜筋と繋がりがあり、
内腹斜筋はインナーマッスルの腹横筋と繋がりがあるため、
前鋸筋を働かせながらベンチプレスをおこなえば、
背骨を反りつつそのまま体幹を安定させられるため、下半身の力を効率よく使うことができます。

更に、脇を締めれば、肩もすくまないので肩周りは安定します。

そして、前鋸筋は大胸筋と一緒に働く筋肉のため、ここを使うことで共縮になることもありません。

このように機能的なことを考えると、ベンチプレスをする時は、肩甲骨を寄せるより、肩を下げて脇を締め、前鋸筋を機能させることを私はオススメします。

次の項目で、ベンチプレス時に前鋸筋を働かせるためのワークも載せてあるので、是非このワークを実践しながらベンチプレスに取り組んでください。

[ベンチプレスで前鋸筋を働かせるワーク]

その効果を体感するために、まずはベンチプレスのかわりに腕立て伏せをしてみて下さい。この時のやりやすさを覚えておきましょう。

次に3つのワークをおこないます。

[前鋸筋に刺激を入れる]

1.脇の下を摩擦で熱くなるまでさする。

2.熱くなったら、腕の付け根(背中側)触り、そのまま腕を前後に各5回ずつ回す。

詳細なやり方はこちらの動画を参考にしてください。

https://youtu.be/rAkCAfS3zsY

[前鋸筋を動かす①]

1.反対の手でわきを触り、肩を下げ、わきを締める。

2.脇を締めたまま腕を前に突き出す。

3.これを前鋸筋を使っている感覚(わきやわきの下の疲労感)がわかるまでおこなう。

[前鋸筋を動かす②]

1.座った状態で両わきとも感覚がわかったら、腕を地面につけ、先ほどと同じように反対の手でわきを触り、肩を下げ、わきを締める。

2.わきを締めたまま腕を前に突き出し、地面を押す。

3.これも前鋸筋を使っている感覚(わきやわきの下の疲労感)がわかるまでおこなう

では再度腕立て伏せをおこなってください。

いかがでしょうか?先ほどよりやりやすく、力も入りやすいと思います。

このように前鋸筋の働きが高まるとベンチプレスがやりやすくなるので、是非次のトレーニング前にこの3つのワークを試してみてください!

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鍼灸師・パーソナルトレーナー

柴雅仁のブログはこちら

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