こんにちは
理学療法士の松井洸です。
姿勢を綺麗に見せるために、背筋をピーンと伸ばすのは間違いではありません。
ですが、それを常に保つのは難しく、肩こりや首こりを起こす可能性がありますし、
目の疲れの原因になっていることもあります。
それを解決するための方法として、
足の裏を叩くことで、脱力して、かつ、姿勢を綺麗に見せることができます。
背筋を伸ばすデメリットを整理しつつ、なぜ足の裏を叩くと良いのかを、一緒に見ていきましょう。
<背筋を伸ばすことのデメリット>
背筋を伸ばして姿勢を綺麗に見せることは、以下の2つのデメリットがあります。
・菱形筋(りょうけいきん)、僧帽筋(そうぼうきん)が緊張する。
・胸椎(きょうつい)が伸びすぎる。
<菱形筋、僧帽筋が緊張する>
背筋を伸ばすと、肩甲骨の内側にある菱形筋と背中から肩にかけてある僧帽筋が緊張します。

それによって背筋を伸ばした状態になりますが、
常にその状態をキープすると筋肉も常に緊張した状態でなくてはいけません。
その結果、肩こりや首こり、背中の痛みを引き起こす可能性があります。
<胸椎が伸びすぎる>
背骨の背中部分は胸椎と呼ばれる場所です。

本来、背骨は身体にかかる衝撃を和らげるために真っ直ぐではなく、カーブを描いています。
首→前にカーブ
背中→後ろにカーブ
腰→前にカーブ

背中の胸椎は後ろにカーブしていますが、背筋を伸ばすとこれが真っ直ぐになります。
すると、本来の背骨の機能が失われ、筋肉にかかる負担も大きくなります。
さらに、胸椎は自律神経が通っており、
胸椎のカーブが真っ直ぐになることで、自律神経による様々な身体の不調を起こす可能性もあります。
<姿勢を保つにはインナーマッスルを使う>
背筋を伸ばすと表面の大きなアウターマッスルが使われやすいです。
アウターマッスルで無理やり姿勢を保持している状態です。
ここで使うべきなのが深層のいわゆるインナーマッスルです。
背骨のインナーマッスルが働くと、背骨が安定し無理やり姿勢を保たなくても楽に姿勢を保つことができます。
首→後頭下筋群(こうとうかきんぐん)
背中→多裂筋(たれつきん)
腰→大腰筋(だいようきん)、多裂筋



上記に挙げた筋肉がそれぞれの部位に対応するインナーマッスルです。
首のインナーマッスルは後頭下筋群ですが、目との関連があり、
菱形筋や僧帽筋の緊張で後頭下筋群は働きにくくなります。
すると、目の働きも阻害されて目の疲れを起こしやすいのです。
<足の裏を叩いて姿勢を良くする>
足の裏の内くるぶしの下辺りを叩くと姿勢が良くなります。
内くるぶしは脛骨(けいこつ)という骨で、
後ろ側には後脛骨筋(こうけいこつきん)という筋肉がべったり付いています。
足の裏を叩いて脛骨を刺激することで、後脛骨筋にも刺激が入り働きやすくなります。

それによって、筋肉のつながりで背骨のインナーマッスルも働きやすくなるのです。
後脛骨筋
↓
膝窩筋(しつかきん)
↓
内転筋(ないてんきん)
↓
大腰筋
↓
横隔膜(おうかくまく)
↓
多裂筋
↓
後頭下筋群

上記のつながりで足の裏を叩くと姿勢が良くなります。
以下のワークの前後で姿勢を比べてみてください。
1.足の裏の内くるぶしの下をさわる。
2.片手をグーにしてトントンと軽く叩く。
3.左右10回ずつ叩く。
叩いた後は姿勢が綺麗で、かつ、楽に立てませんか?
後脛骨筋が刺激され、背骨のインナーマッスルも働きやすくなったのです。
<まとめ>
・姿勢を良くするために背筋を伸ばすと肩こりや首こりを起こしやすい。
・自律神経が乱れやすい。
・背骨のインナーマッスルを働かせると楽に姿勢を保つことができる。
・内くるぶしの下を叩くと後脛骨筋が働きやすくなる。
・後脛骨筋は背骨のインナーマッスルとつながっている。
良い姿勢に見せたいとやっていることが、実は身体に悪いことかもしれません。
良いと思っていることも時には疑ってみてください。
【肩の力を抜く方法】
【間違いだらけの体幹トレーニング】
【間違いだらけの筋力トレーニング】
などは、こちらから無料ダウンロードできます。
最新記事 by 体軸コンディショニングスクール (全て見る)
- ビックボスの秘策⁉新庄監督から学ぶ姿勢の極意 - 2022年3月10日
- こどもの運動神経が良くなる肩甲骨の使い方 - 2022年3月8日
- 靴底で分かるこどもの歩き方の特徴 - 2022年2月22日