スポーツや武道では、
「かかとをつけずにつま先立ちで動きなさい。」
「かかとを使って動きなさい。」
といった指導があります。
これらはどちらが合っていて、どちらがよりスポーツを上達させることにつながるのでしょうか?
つま先立ちが良いのか、かかと立ちが良いのか解説していきたいと思います。
どっちが正解なのか⁉︎
つま先立ちとかかと立ちについて色々なメリットやデメリットが述べられていたりしますが、結論から言うと”どちらも間違ってはいません。”
しかし、どちらの身体の使い方も前提として条件があります。
それは、かかとを使って動いた時の筋肉をバランスよく働かせるということです。
この2つの立ち方には、使われる筋肉に大きな違いがあります。
「つま先立ち」で動いたときは、スネ(前脛骨筋)、ふくらはぎ(腓腹筋)、腹筋(腹直筋)、お尻(中殿筋)、腰(腰方形筋)、背中(脊柱起立筋)、前もも(大腿四頭筋)などの筋肉が使われやすくなります。
そして、「かかと」を使って動いたときは、ふくらはぎ(後脛骨筋、腓骨筋)、裏もも(ハムストリングス)、内もも(内転筋)、体幹のインナーマッスル(腸腰筋、骨盤底筋)などの筋肉が使われやすくなります。
両者で使う筋肉はそれぞれ反対の役割を持っており(主働拮抗関係)、実際に歩いたり走ったりするときには、これらの筋肉同士がバランスよく働くことによって成立しているのです。
なぜ、かかと立ちのときの身体の使い方なのか
では、なぜ、かかと立ちのときの身体の使い方が必要なのでしょうか。
それは、つま先立ちで使われる筋肉を使う癖がついてしまうと、身体が固まりやすく、動きがぎこちないものとなってしまうからです。
身体が固まり、動きがぎこちないものとなってしまう理由の1つとしては、つま先立ちの状態だと前もも(大腿四頭筋)に力が入りやすくなることが挙げられらます。
前もも(大腿四頭筋)は体幹のインナーマッスル(腸腰筋)と同じく、脚を挙げるときに使われる重要な筋肉です。
しかし、この前もも(大腿四頭筋)に力が入りすぎてしまうと脚を挙げる時や地面を蹴っていくときに使われる体幹のインナーマッスル(腸腰筋)が働きにくくなってしまいます。
体幹のインナーマッスル(腸腰筋)には、脚を挙げる役割の他に、下半身から体幹への力、体幹から上半身への力を伝えるという重要な役割も持っています。
ですので、前もも(大腿四頭筋)に力が入ることによって体幹のインナーマッスル(腸腰筋)が働かなくなってしまうと、全身を上手く連動させて動かすことが出来なくなってしますのです。
先程、動きが途端にぎこちなくなるといったのは、そういった理由があるからなのです。
では、つま先立ちという考え方自体が間違っているのかというとそうではありません。
実際のスポーツで動くときの身体の使い方
実際にサッカーやテニス、バスケなどのスポーツで活躍しているプロ選手の身体の使い方を見てみるとわかりますが、かかとが地面についておらず、つま先立ちの状態で素早く安定した状態で動いています。
これは、普段からかかとを使って動く際の筋肉を使う癖がついており、つま先立ちのときでもかかと立ちのときに使う筋肉を働せることができているからなのです。
つま先立ちでスムーズに動くためのワーク
つま先立ちの状態でもかかと立ちのときに使われる筋肉を働かせることができるようにするためのワークを2つ紹介していきます。
1つ目は、
1.足を腰幅に広げ、つま先を前に向け、足の位置を揃える。
2.股関節のV ラインの真ん中(恥骨の横)を触りながら股関節を曲げてお尻を後ろに引く。この時裏ももが伸びているのと足の裏のアーチが引き上がっている感覚を確かめる。
3.股関節を視点に元の位置に戻っていく。
4.これを10回繰り返す。
次に1つ目に行ったワークをつま先立ちの状態でゆっくり行っていきます。
回数は同じく10回ほど行っていきましょう。
これらのワークをすることによって、つま先立ちの状態でもかかと立ちで動く時の筋肉を使って動けるようになります。
かかと立ちで動く時の筋肉を使って動けるようになれば、体幹が安定し、スポーツや武道でより素早く動くことができるでしょう。
ぜひ、繰り返しワークを行って、あなたも上手な身体の使い方を身につけてください。
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