良い姿勢といえば背筋が伸びて胸を張る姿勢だと多くの人は思っています。
その考えから猫背にならないために背筋を伸ばして良い姿勢を作ろうとする人もいるかもしれませんが、実は腹筋運動の方がより良い姿勢になることができます。
良い姿勢とは何か?
その定義から解説して腹筋運動が良い姿勢につながる理由を見ていきましょう。
良い姿勢の定義
多くの人が考える良い姿勢の特徴
- 肩甲骨を寄せる
- 背筋を伸ばす
- 胸を張る姿勢
たしかに、背筋が伸ばし胸を張ると綺麗な姿勢に見えるかもしれません。
しかし、ここで考えたいのは、人間は”立って活動する生き物”ということです。
人間は本来身体を動かすことで活動をします。
寝る、座る、立つ、というような止まっている姿勢は、次の動きのため準備の段階のようなものです。
つまり、立っている姿勢も本来であれば次に動くための準備となります。「次の動作に移りやすい姿勢」が人間にとって良い姿勢ということになります。
では、ここで実際に動いて実感してみましょう。
まずは肩甲骨を寄せるようにして胸を張ってみてください。
そして、その状態のままバンザイをしてみましょう。
次に、肩甲骨は寄せず胸も張らずに楽にした状態でバンザイをしてください。
きっと後者のほうがバンザイがしやすいです。
人によっては肩甲骨を寄せて胸を張りながらバンザイをすると、腰や背中に痛みや違和感があるかもしれません。
胸を張ると、動きにくいだけでなく、痛みや違和感まで出てくるのです。
いくら見た目が良く見えても、次の動きの準備にならない姿勢は、人間にとっては良い姿勢とは言えないことが多いのです。
胸を張ると動きにくくなる理由
背筋を伸ばして胸を張る姿勢が、動きにくさや違和感を与える原因は、その姿勢で使う筋肉にあります。
胸を張ると肩甲骨も寄ってしまうのですが、このときに使う筋肉を考えてみましょう。
まず、肩甲骨を寄せる動きは肩甲骨の内転と言います。
この動きで使う筋肉は背骨と肩甲骨をつなぐ僧帽筋と菱形筋です。
肩甲骨を寄せることでこの2つの筋肉を必要以上に使ってしまいます。
そして、胸を張ることで背骨に沿ってついている脊柱起立筋も過剰に使われます。
これらの3つの筋肉はお互いに連動して使われます。さらに、僧帽筋は肩の筋肉である三角筋とも連動しているという特徴があります。
三角筋は肩を動かすために必要な筋肉ですが、いわゆるアウターマッスルと呼ばれる筋肉であり、大きな筋肉になるため関節への負担や疲労も大きくなってしまいます。


背筋を伸ばして胸を張る姿勢は、これらのアウターマッスルを過度に働かせるため、動きにくさや違和感を与えるのです。
次の動きにつながる良い姿勢
では、次の動きにつながる人間本来の良い姿勢とはどういうものでしょうか。
それは全身のインナーマッスルが使われている姿勢です。
インナーマッスルが使われている姿勢は、見た目では肩甲骨は寄らず、みぞおちが少し丸まる姿勢になります。
良い姿勢をするときに胸を張って背筋を伸ばし肩甲骨を寄せてしまう人からすると、少し猫背だと思われるかもしれません。しかし、この姿勢は、肩甲骨の裏側から肋骨についている前鋸筋、そこから繋がる腹斜筋や腹横筋などの体幹の筋肉が働きやすくなります。
いわゆる体幹のインナーマッスルにも関わるため、腹圧と呼ばれるお腹の圧も上がりやすくなり、その腹圧で上体が支えられるため過度な猫背になりにくい姿勢で保つことができます。
この良い姿勢を作るためには、前鋸筋や腹斜筋、腹横筋、横隔膜といった体幹につながるまでのインナーマッスルを使う必要があるのです。

これらの筋肉を使えるようにする腹筋運動を紹介しますので、ぜひ試してみてください。
<良い姿勢を作る腹筋運動>
準備:脇の後ろとヘソから指4本上のみぞおちを触って意識付けをする
1.膝を曲げた仰向けで両腕はまっすぐ天井に向かって脇から伸ばす
2.頷くように頭を持ち上げる
3.伸ばした腕をさらに脇から伸ばすようにして上体を持ち上げる(このときみぞおちを少し丸めたままにする)
4.ゆっくり戻す。
<動画はこちら>
このエクササイズをした後に鏡で姿勢を見てみてください。
おそらく感覚としては猫背のようですが、見た目は自然と真っ直ぐな姿勢できれいに保てていると思います。
これが動くことが必要な人間の本来の良い姿勢に近い姿勢ですので、姿勢が気になる人はこの運動を取り入れてみてください。
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<保有資格>
・理学療法士
・JCMA認定体軸セラピスト
医療−介護−障害福祉の事業をする会社のマネージャー職。
理学療法士、ピラティス、体幹トレーナー、第1種衛生管理者で動きの専門家。
ビジネス全般、IPO、M&A、組織作り、育成・教育。ビジネスができる身体を。
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