運動不足の解消や、健康維持のためにトレーニングを始める人は多いのですが、筋肉をつけて、身体の動きを良くするためにトレーニングをする人も多いと思います。
しかし、トレーニングをしたからといって必ずしも身体の動きが良くなるわけでもありません。
トレーニングのやり方によっては、動きにくくなる可能性もあります。今回は動きやすくなるトレーニングと、動きにくくなるトレーニングの違いについて解説していきます。
トレーニングと身体の動かしやすさについて
身体を動かすということは、必ず筋肉の収縮(縮む動き)が起きます。
そのため、筋力アップをすることで、筋肉の縮む力が強くなるため、大きい力を発揮できるようになったり、動きのパフォーマンスが改善されると考える人は多くいます。
たしかに、筋力不足によって動きの制限がある方には、筋力をつけることで動きが改善されて行きます。
しかし、ある程度活動的な生活を送っていても、身体に問題がない方にとっては、トレーニング方法によって、身体の動きが良くも悪くもなるのです。
それでは、トレーニング方法の違いについて考えていきましょう。
そのトレーニングの違いは、「どの筋肉を中心に使うのか」です。
これは大きく分けて、アウターマッスル中心のトレーニングと、インナーマッスル中心のトレーニングに分かれます。
まずは椅子に座ってみて、この2つの立ち上がり方を試してみてください。
立ち上がる前に、
■アウターマッスル中心
- シックスパックがある腹直筋をさする。
- 膝を手で押さえて反発するように太ももを上げながら、前もも(大腿四頭筋)をさする。
- 1と2ができたら、立ち上がる。
■インナーマッスル中心
- 裏もも(ハムストリングス)をさする。
- へそから指4本上の「みぞおち」を手の指でほぐす。
- 1と2ができたら、立ち上がる。
どちらの方が立ち上がりやすかったでしょうか?
おそらく、後者の方が簡単に立ち上がれたと思います。
アウターマッスル 中心の立ち上がり方は、腹直筋・大腿四頭筋、中心に使った立ち上がり方です。
アウターマッスルは大きなパワーを発揮するための重要ですが、直線的な動きをするという特徴があります。
そのため、このアウターマッスルを中心に使う身体の使い方になると、細かく精密な動きが苦手になってしまいます。
先ほどの立ち上がる動作も、立ち上がるまでに直線的な動きではなく、細かく使う筋肉を切り替えながら、動作が成り立ちます。
そのような身体の細かい動きが得意なのがインナーマッスルです。インナーマッスルは、大きな力は発揮できないものの、他の筋肉と協調して動きをよりスムーズにする働きがあります。
このように立ち上がるという単純な動作であっても、アウターマッスル中心ではなく、インナーマッスル中心に動くこととスムーズに動けて、動きのパフォーマンスが上がることが分かります。
つまり、トレーニングを行う際も、インナーマッスル中心の身体を使えるようにすることで、動きの質も改善できるということです。
インナーマッスルを鍛えるトレーニングの3つのポイント
インナーマッスルを中心にトレーニングすることでがわかりました。
このインナーマッスルを中心に動けるようにトレーニングするためには、脇、みぞおち、股関節の3つを使えるようにする必要があります。
そのためのワークがこの3つです。
■脇のクロスポイント
- 脇の体幹と腕のつないでいるあたりを手で押さえる
- 脇を押さえたまま、腕を回す。
- 1〜2を両腕で行う。
■みぞおちのクロスポイント
- へそから指4本上にある、みぞおちを手で押さえる。
- みぞおちを押さえたまま、もう片一方の手で同じ高さの背中側の背骨に手を回す。
- 前後で押さえた部分の背骨を前後に2〜3回動かす。
- 同じように、左右に2〜3回倒す。
- 同じように、後ろを見るように2 〜3回捻る。
■股関節スクワット
- 鼠蹊部の真ん中の部分を手で押さえる。
(先ほどやった股関節の位置をより意識しましょう) - 爪先と膝をすべて身体の正面に向いていることを確認する。
- 確認ができたら、膝の位置を変えずに、鼠蹊部を引き込みお尻を後ろに突き出す。
- もも裏の張りを感じたら、元の位置に鼠蹊部を押し出すことで戻ってくる。
- 1〜4を5回繰り返す。
これらのワークをすることで、前鋸筋〜横隔膜〜大腰筋〜ハムストリングスといった、インナーマッスルを中心とした筋肉が働きやすくなります。
まずはいつも通りのトレーニングをする前に、これらのクロスポイントを試してから行ってみてください。
この3つのクロスポイントをしてからトレーニングをすると、同じトレーニングでもトレーニング後の動きやすさが変わってくると思います。
もっと詳しくインナーマッスルを使うトレーニングを知りたい方は、下記のPDFをご覧ください。身体を動きを良くするためのトレーニングを知ることができます。
【間違いだらけの筋力トレーニング】
https://mag.metaaxis.co.jp/muscle-training/
<保有資格>
・理学療法士
・JCMA認定体軸セラピスト
医療−介護−障害福祉の事業をする会社のマネージャー職。
理学療法士、ピラティス、体幹トレーナー、第1種衛生管理者で動きの専門家。
ビジネス全般、IPO、M&A、組織作り、育成・教育。ビジネスができる身体を。
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