昔、学校で習った「気をつけ」の姿勢。膝を伸ばして背筋を伸ばし、胸を張った姿勢です。
ピシッとした姿勢なので綺麗な姿勢は多くの場合、この「気をつけ」の姿勢を基準にされます。
しかし、綺麗な姿勢であっても、身体にとって楽な姿勢というわけではありません。
綺麗な姿勢を維持しようとするあまりに、腰に張ったり肩に無駄な力が入りやすくなります。
今回は楽に立つことと膝の関係について、考えていきましょう。
膝を伸ばす筋肉はみぞおちを固める
膝を伸ばすために働く筋肉は、主に前ももの大腿四頭筋と呼ばれる大きな筋肉です。
この大腿四頭筋が縮むことによって、膝が伸びます。

膝を伸ばし切ると膝関節がロックされるため、筋力はほとんど必要なくなると言われています。しかし、実際のところは膝を伸ばし切ったところで安定させるために、前ももの筋力が常に縮んだ状態をキープする必要があります。
この大腿四頭筋はスーパーフィシャル・フロント・ラインと呼ばれる筋膜を通して、腹直筋、胸鎖乳突筋あたりの筋肉も固まってきます。

さらに、腹直筋が固まると、ファンクショナル・フロント・ラインという筋膜を通じて、大胸筋も固まり肩周りの動きも制限してしまいます。

腹直筋が固まるということはみぞおちの部分も固まり、とても大切な体幹のインナーマッスルの大腰筋が使いにくくなるので、股関節の動きも悪くなってしまいます。

膝を伸ばし切るところから、肩や股関節の動きなど身体全体に影響を与える可能性があるのです。
膝は緩めて適度な緊張を保つ
それでは、無駄な緊張のない身体にとって楽な姿勢というのは、どのように作るのでしょうか?
前ももの緊張を落としつつ、膝周りのインナーマッスルを使いやすくすることで楽に立ちやすくなります。前後チェックのために現在の立ちやすさを見てみてください。
膝のお皿を動きやすくする
- 脚を伸ばして座り、膝の皿を手で包むように掴む。
- お皿の部分を掴んだら上下に軽く揺らして、動きやすくなるまで動かす。
- 動きやすくなったら、逆の脚でも行う。
■膝裏のクロスポイント
- 両脚を伸ばして座る。
- 膝の裏のシワの真ん中を両手の指で押さえる。
- シワを押さえたら脚は完全に力を抜いて、腕の力で手前に引き寄せる。
- 引き寄せたら、脱力して脚をストーンと下ろす。
- 3と4を5〜10回ほど繰り返す。
2つのワークを終えたら、立ち上がった感覚をみてください。膝周りの緊張が抜けて、腰回りや肩の緊張も抜けやすくなるはずです。
これは、膝周りの筋バランスを整えることで前ももの緊張が落ち、体幹にある重要なインナーマッスル、横隔膜、大腰筋が使いやすくなるからです。
これらのインナーマッスルが働きやすくなることによって、体幹の姿勢保持が楽になるだけではなく、肩周りの緊張も落ちます。
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金田翔吾
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