昔、フィットネスクラブで働いていたときに、先輩から教わったことです。
「どれか一つだけしかトレーニングを勧められないとしたら、迷わずにスクワットを選ぶ。
スクワットで鍛えられる筋肉は身体のなかでもっとも大きい筋肉だし、体幹も使うので足腰を鍛えられる。これほど良いトレーニングはない」
たしかにスクワットは多くの筋肉を使います。ですが、身体を機能的にするという視点で考えたら、筋肉をとにかく一度に鍛える。本当にそれで良いのでしょうか?
足腰を強くしたくてスクワットをするなら、大きな筋肉を強くすることよりも大切なことがあるのです。
足腰の強さは股関節の強さ
「えっ?関節!? 関節なんて鍛えらないんじゃないの?どういうこと??」
そう思った方もいるかもしれません。
あなたが思っている通り、関節は骨と骨が組み合わさってできているので、直接鍛えることはできません。
それなのに、なぜ筋肉ではなく関節を鍛えると言っているのか?
それは、身体を動かしているのは筋肉だけど、その土台になっているのが関節だからです。
身体の動きは、関節の動きと言っても過言ではありません。関節の動きを良くするためには、インナーマッスルを鍛えて働きやすくする必要があるのです。この考えが抜けていると、筋肉が強くなったところで、効果のないトレーニングになってしまう可能性があるのです。
>>一般的なスクワットでどこが鍛えられるのか?
しゃがむこむときに、前もも(大腿四頭筋)が鍛えられ、身体を起こすときに、もも裏(ハムストリングス)、お尻(大臀筋・中臀筋)が鍛えられ、さらには姿勢を真っ直ぐに維持することで、腹直筋や脊柱起立筋などの体幹の筋肉を鍛えることが出来ます。
というのが、一般的なスクワットです。

ここで考えなければいけないことは、股関節の動きにどんな影響があるのか?です。
前ももを鍛えると、股関節の動きが悪くなる
実際に体感してみましょう。
何も考えず、その場で足踏みをしてみて脚の上げやすさを確認してみてください。
確認ができたら、一般的なスクワットをやってみましょう。
- 足を肩幅より少し広くし、爪先を少しだけ(15度程度)外側に開いて立つ。
- 手が肩にクロスにするように置く。
- 膝がつま先より前に出ないように、太ももが地面と平行になるまでゆっくりしゃがむ。(膝とつま先が同じ方向に曲げることを常に意識してください)
- 下まで降りたら、ゆっくり身体を起こしていく。
- 3~4の動作を5回繰り返す。
これができたら、もう一度足踏みをしてみてください。
きっと脚が上げにくくなったと思います。一般的な膝を深く曲げていくスクワットは、この前ももを鍛える働きが強いので、股関節の動きに制限をかけてしまうのです。
>>股関節の動きを良くすることを一番に考えたスクワット
それでは次に、体幹のインナーマッスルを働きやすくしつつ、ハムストリングスを鍛えるスクワットをやってみましょう。

■股関節スクワット
- 鼠蹊部の真ん中の部分を手で押さえる。
- 爪先と膝をすべて身体の正面に向いていることを確認する。
- 確認ができたら、膝の位置を変えずに、鼠蹊部を引き込みお尻を後ろに突き出す。
- もも裏の張りを感じたら、元の位置に鼠蹊部を押し出すことで戻ってくる。
- 1〜4を5回繰り返す。
それでは、足踏みをして脚の動かしやすさを確認してみてください。きっとさっきよりも脚が楽に上がるようになったのではないかと思います。
これは、股関節の周りのインナーマッスルが働きやすくなったおかげで、体幹の中心から股関節を動かせるようになったからです。
同じスクワットでも股関節を動かしやすくする。という視点でやることで、本当に効果があるトレーニングをすることができます。
同じ回数のスクワットをしたのに、こんなに効果が変わるって面白くないですか?
なぜこんなにもトレーニングの効果が変わったのか?もっと詳しく知りたい方は、「間違いだらけの体幹トレーニング」をダウンロードしてみてください。
金田翔吾
最新記事 by 金田翔吾 (全て見る)
- スクワットは最強のトレーニング? - 2021年2月11日
- 足裏を整えると運動能力が上がる - 2021年2月3日
- 股関節を柔らかく使うための呼吸法 - 2021年1月28日