「腕を振るんじゃなくて肩甲骨から動かす感じ。」イチロー選手が引退後、高校球児たちに指導した中で、盗塁でより素早いスタートを切るには肩甲骨の使い方次第で、まるで違ったものになると言っていました。
「なぜ腕ではなく肩甲骨なのでしょうか?」
実は、イチロー選手が言うように、肩甲骨の使い方を変えるだけで、走りはもちろんのこと、投げる、蹴る、打つなどの動きでも大きな影響を与えるのです。
イチロー選手の運動パフォーマンスを支える肩甲骨の使い方の秘密とは一体何なのでしょうか?
腕を振ると脚が遅くなる⁉
一般的に走るときには腕を振ると良いと言われています。
確かに腕を振ることによって、腕の力が体幹に伝わり、体幹を通じて下半身にいきます。
腕の力を上手くいかせていれば、下半身だけの力だけでなく、全身を使って力を生み出せる方法の一ついうわけですね。
しかし、この方法には大きな落とし穴があります。
それは、腕に力が入りすぎることで、体幹のインナーマッスルが働きにくくなることです。
腕の筋肉(上腕二頭筋や三角筋)は、肩の筋肉(僧帽筋)と連動して働く傾向があります。
腕からの力を体幹に伝え、最終的に下半身に力を伝えるには背骨(体幹)から下半身にかけてまたいでいる唯一のインナーマッスル(大腰筋)が働いている必要があります。
肩の筋肉はアウターマッスルで、アウターマッスルは働きすぎるとインナーマッスルの働きを抑える作用があります。
ですので、肩の筋肉に余計な力が入った状態で走るとインナーマッスルである大腰筋が働きにくくなってしまいます。
これが、腕を振っても速く動けないといった現象を作り出す原因です。
肩甲骨を使うと力が出る理由
では、どうすれば速く走れるようになるのか。
速く走るためには、体幹からの力を下半身に伝える大腰筋を働きやすくすることで、力の生み出しを効率よくする必要があります。
そのために重要になってくるのが、肩甲骨です。
肩甲骨には、脇の下の筋肉(前鋸筋)がついています。
脇の下の筋肉は脇腹の筋肉(腹斜筋や腹横筋)と連動して働く作用を持っており、脇腹の筋肉はいくつかの筋肉を跨ぎ、大腰筋とつながりを持っています。
ですので、肩甲骨が上手く使えれば、大腰筋が働きやすくなり、体幹から下半身へ上手く力を伝えられるようになるのです。
正しい肩甲骨の使い方
“実際に肩甲骨を意識して動いてください”といっても、なかなか難しいものがあると思います。
なぜなら、我々人間の身体はお腹側は神経がたくさんあって敏感なのですが、背中側はお腹側に比べて少ないため、意識しにくいからです。
では、どうすればいいのか。
肩甲骨を意識しやすくするための筋肉である脇の下の筋肉を意識しやすくすればいいのです。
特に力が入りやすい人は、冒頭で述べた肩の筋肉(僧帽筋)に力が入っていて、脇の下の筋肉に力が入りにくい状態になっています。
ですので、肩の余計な力を抜いた状態を作り、脇の下の筋肉に力が入りやすい状態にする必要があります。
以下のワークをやってみてください。
可能な人はワークをやる前に走ったり動いたりするといいかもしれません。
肩の筋肉の緊張をなくすワーク
・楽な姿勢で座る。
・首を前に倒し、1番出っ張る骨を見つける。(第7頚椎)
・首を戻し第7頚椎から首の前に向かってたどっていく。
・首のくぼみ(画像参照)を見つけたらそこを押さえる。
・両方押さえながら、前後、左右、回旋をそれぞれ5回ずつ行う。

脇の下の筋肉の力が入りやすくなるワーク
・脇の下の付け根の背中側(画像参照)を押さえる。
・肘を曲げて脇を軽く締めるような動きを5回行う。
・前回し、後ろ回しをそれぞれ5回ずつ行う。
・反対も行う。

これらのワークを行なった後、再度動いてみてください。
先程よりも肩甲骨からの意識がしやすくなり、走りやすくなっていたり、動きやすくなっていると思います。
これは、肩甲骨が意識しやすくなることで、上半身から体幹、体幹から下半身へ力が伝わりやすくなったためです。
走り方を例に解説をしましたが、速く走れるようになれば、スポーツにおいて相手に圧倒的な差をつけることができるようになります。
野球はもちろん、サッカーやテニス、バスケなど0コンマ何秒の世界を競うスポーツでは、間違いなく役に立つことでしょう。
スポーツが上達してライバルに差をつけられるようになりたいといった方はぜひ試してみてください。
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